2026.05.21 (木)
スタッフが「ここで一生働きたい。」と思える場所へ。『時間生産性』がサロンの未来を変える!
兵庫県内に10店舗超を展開する「コマキグループ」。
今回お話を伺った松尾昇路さんは同社でマネージャーを10年以上歴任し、
2025年11月には社内独立というかたちで「Bifino Rilune」の経営者としても活躍中。
『現在はスタッフが定着している状況が創れていますが
約10年ほど前は「スタイリストデビュー直後の離職」という
多くの経営者が頭を抱える課題に直面していました。』
手塩にかけて育てたスタッフが、売上が伸び悩む不安から
自由な働き方を求めて流出してしまう。
この負の連鎖をどう断ち切ったのか?
松尾氏が実践した、スタッフを守り
サロンの価値を底上げした「組織づくりの秘訣」を紐解きます。
「売上を上げろ」は教育ではない。
かつて、スタッフが離職していた根本的な原因。
それは、経営側が「売上を上げろ」と言うだけで
その具体的な「上げ方」を教えられていなかったことにありました。
「客数」を増やす、すなわち「集客」はお店の役割ですが
『「客単価」をどう高めるか』はスタイリスト個人の手腕に委ねられがちです。
しかし、武器を持たないスタッフに「単価を上げろ」というのは
丸腰で戦場に行かせるようなもの。
そこでとりかかったのは
「短時間でプラスアルファの価値を作る」メニュー設計でした。
まずは「5分で2,000円」のカラーメニューから。
それで単価アップが成功していくと
よりデザイン性を高めた提案へとステップを追って
スタッフが成功体験を積める仕組みを整えたのです。

現場の「怖い」を「楽しい」に変えるメニューの工夫
新しいメニューを導入する際、最大の壁になるのはスタッフの心理的ハードルです。
特に「忙しい中で工程が増えるのは困る」「パーマは失敗が怖くて苦手」という
現場の本音。
ー 松尾氏は、試行錯誤を繰り返しながら突破口を見つけます。

「ながらメニュー」の確立
メイン施術と同時並行して行えるハイライトや前髪アップパーマなど、
「髪質改善メニューをしながら前髪パーマをする」ような
お客様の時間を奪わないメニューを主軸に展開。
工程を削ぎ落とす
誰が担当しても同じ結果が出るよう、工程を極限までシンプルに。
大前提として、「クオリティは落とさずに」です。
当日予約の隙間時間でも、ワンオペで無理なく提案できる「再現性」にこだわりました。
「パーマ」と呼ばない逆転の発想
苦手意識を払拭するため、あえて従来のパーマという枠組みから外し
ピンを使って形を作る「新しいお悩み解決メニュー」として定着させたのです。

「数字」に向き合う。
魅力的なメニュー(武器)を手に入れたら
次に必要なのは「数字に対する意識改革」です。
同社では、「数字」の勉強会を行っています。
各々が「自分の売上構成はどうなっているのか」を理解することから。
まずは「売上」を「時間」で割って『時間生産性』を出してみよう、と。
多くの美容師が敬遠しがちな数字ですが、
自分の売上がどう構成されているかを分解して理解することは
自分の価値を知ることに直結します。
わたしたちが目指すのは、単に優しいだけの職場ではなく、
プロとして責任を果たす部分は厳しく律する「ニューホワイト」な組織。
カラーやパーマなど「技術の向上」と「時間あたりの生産性」という二つの軸で
成長を実感させることで、スタッフは「会社に依存する」のではなく、
「会社から必要とされる自分」になろうと能動的に動きはじめます。
➖30歳を過ぎても、この場所で輝き続けるために
よく聞く話ですが
店長をしている方が30歳超えたら後輩に売上を譲る、みたいな風潮ありますよね。
美しいとされる日本の慣習のような。
でも僕はそれは違う気がしていて。
30歳以降も貪欲に自分の売上を追っていく・作っていくことは
大事なことだと考えています。
会社にとっても一生涯のパートナーでいていただくためにも、
自分の売上をキープすることは大事なファクター。
スタッフの離職を防ぐ本当の鍵は、
「この店にいれば、自分は成長できるし、しっかり稼げる」という
確信を持たせてあげることだと思います。
現場で使いやすい武器を渡し、数字という論理的な指標で成長を支え、
その先に「社内独立」や「ママスタイリストとしての活躍」など
多様なキャリアパスを提示する。
そうすれば 数年先のキャリアパスのイメージができて、
大切なスタッフの離職は回避できます。
同社は創業89年。
「100年続く企業」を目指す同社の歩みは、単なる経営戦略ではありません。
美容師という素晴らしい職業を選んだ仲間たちが、
一生涯のパートナーとして輝き続けるための「居場所づくり」そのものなのです。
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